大正の中期、オイチニの薬屋樋口は美しい妻ゆきと二人で貧しいながらも誠実な真心を失わず楽しく暮らしていた。土地の親分太田黒は土地会社の手先となり立ち退きを強制したが、樋口は地元民の先頭に起って反対したので憎まれた。子分の卯之吉は刺客を命ぜられ樋口を待ち伏せこれと格闘崖下に転落して互いに傷ついてしまった。一と月後に退院した卯之吉の左腕は失われていた。親分から見放され悄然たる卯之吉が歩いて来たところに樋口の家がポツンと残っていた。樋口は崖から転落した時の傷が原因で一ヶ月前に死んだ事をゆきから聞いた。樋口は卯之吉に襲われたことを一言も喋らずに死んでいたのである。前非を悔いた卯之吉は樋口の形見のオイチニの服を借り受け不自由な片手で手風琴を奏で一家の支柱を失ったゆきの生活を助けていた。ゆきはやがて樋口の子を産んだが、産後の日経ちが悪く嬰児の菊子を卯之吉に託してこ...
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