不法入国のかどで黒人サムは外国人収容所に入れられたが、趙、パーカー、十三号の同房者はそれぞれに一癖も、二癖もある連中だった。なかでも、正体不明の東洋人十三号は腕っぷしが無類に強く、係官も手を焼いていた。サムは強奪した二百万ドルのダイヤを基地の火薬庫に隠していたが、この秘密を十三号にうちあけて協力を頼んだ。サムの恋人春子が朗報をもって面会に来た。彼女はキャバレーで働いていたが、ボスの高木が力を貸すと申し入れてきたというのだ。収容所の見取図が手に入ると、十三号は一同に脱獄プランを打ちあけた。「床に穴を開けて下の病室へ抜ける。病室の床のタイルをはずして二米ほど穴を開ければ下水道に出られる。下水道の壁は高木に破壊して貰う」作戦通りに工作は進んだ。そして決行、四人は病室の白人女アンともども下水道で高木達と合流した。一同は高木の別荘で基地の地図を囲んだが、宝石が欲しいばかりにサムの脱獄を買って出た高木は十三号達が邪魔だった。もう一つサムを狙ってマイヤーらの外国人団があった。アンはその秘命を受けてもぐり込んでいたのだ。十三号の素性が意外な事から割れた。高木の女、安芸子の実兄で十二年前に日本を捨てた笠見利夫と分って、高木は笠見に一目置かざるを得なくなった。綿密な計算のもと、軍用トラックを奪って基地に入りこんだ笠見らは、宝石を隠した魚雷をまんまと運び出した。だが、一触即発の危機をはらむこのトラックの前に、突如としてマイヤー一味が襲ってきた。追いつ追われつの銃撃戦の後、追撃をふり切った笠見らは廃虚の倉庫に逃げ込んだ。宙づりにした魚雷を分解して、サムの指先がまさにダイヤに触れようとした時、再び倉庫をとり囲んだマイヤー達のマシンガンが火を吐いた。一瞬、ダイヤはもちろん、全てがふっ飛んだ。生き残ったのは高木と安芸子の二人だけであった。
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