原発から30キロ以上も離れていながら、風向きと降雪・降雨のために大量の放射能に汚染され、「全村避難」を余儀なくされた福島県・飯舘村。酪農の生業を失い、家族離散に追い込まれた二つの家族の「その後」の生活と、故郷や家族への思いを描きながら、原発事故がもたらした“故郷喪失”の深刻な傷痕をあぶり出す。 避難までの2、3ヵ月間に及ぶ放射能被曝の不安、とりわけ幼い子どもたちへの影響に若い親たちは怯え苦しみ続けている。一方、政府は村民の帰村と村の復興をめざし、2011年末から「除染」効果の実験事業を開始した。しかしその効果は「子どもたちが安心して暮らせる」レベルにはほど遠い。村人の中から、数千億円にも及ぶ莫大な費用のかける除染で、ほんとうに帰村できるのかという疑問や不安、不信の声が噴出する。「帰りたい。しかし帰れないのでは? ではどうする?」──2年に及ぶ避難生活の中で、飯舘村の村人たちの葛藤と苦悩は続く。
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