戦後50余年、アメリカ軍の銃剣と暴力に屈せず、土地と民主主義を守る闘いを沖縄・伊江島で続ける阿波根昌鴻氏の生きざまを追ったドキュメンタリー。沖縄戦後史の生き証人でもある氏の、現実を見つめ、未来を語るその姿を通して、“反戦平和”と“非暴力の抵抗と共生の思想”を強く訴えかける。伊江島は沖縄戦で多くの犠牲者が出た激戦地で、島を占領した米軍は戦後も飛行場を訓練基地として使用する一方、1953年に土地収用令を出して島の大半を軍事基地として占拠した。阿波根さんをはじめとする島民は“島ぐるみ闘争”でこれに抵抗し、一時期、島の63%を占めた軍用地は半分近くに減ったが、反戦地主たちの闘いは現在もなお続いている。84年に反戦平和資料館“ヌチドゥタカラの家”をつくった阿波根さんは、闘争のリーダーとして、平和の尊さを次の世代へ受け継ぐために、93歳になった今も全力を傾ける。監督は「ガラスのうさぎ」などの実写劇映画で知られる橘祐典。97年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第10位。
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