そこで出逢ったひとびとは、静かに語りはじめる。一台のカメラが、その声と風景を何度も往復しながら、ただひたすらに素描を重ねていく。監督は、『ただいま それぞれの居場所』で、介護現場のいまと希望を描き、平成22年度文化庁映画賞「文化記録映画大賞」を受賞した大宮浩一。 日付も地名も、人の名も付すことのないこの映画は、未曽有の大地震と津波の跡を、そして、その後もなお続くいとなみを、決して情報に還元することなく、スクリーンに大きく映しだしてゆく――はたして「復興」とは何を意味するのか? 私たちは何処へゆくのか? 映画館の暗闇に、いくつもの問いが、浮かんでは、消えていく。 誰が悪いわけでもないのに、自分のせいでもないのに、どうしてこんな災厄が起きてしまうのだろう。そして人間はそれを目の当たりにしてどうやって生きていけばいいのだろう。この春の出来事の中心にあった筈の問いかけに、この映画は一番に答えてくれている。 報道ではなく正に映画。出来事が起こってから短期間に上映まで行うという行為も含め、映画にはまだまだ未来があるのだと勇気を貰った。 瀬々敬久―― 映画監督
影视行业信息《免责声明》I 违法和不良信息举报电话:4006018900