同名の山田太一原作、NHK連続テレビ小説の映画化。 大平洋戦争も敗戦のきざしが見えはじめた昭和十九年一月、天草遠見ケ浦の漁村にも戦時の色が濃かった。土地の国民学校の校長である田宮行義の娘真紀は女学校を卒業したばかりの十八歳で郵便局に勤めているが、ひそかに幼馴じみの周一を愛していた。周一は網元・村上家の長男で二十歳になったばかりだったが、たくましく一人前の漁師であった。そして周一も美しく素直な真紀を愛していた。徴兵検査で、周一は甲種合格と決まった。半年後に入営を控えて周一と真紀は愛を確めあった。周一は既に死ぬ覚悟をしているため、真紀からの結婚の申し出を拒否したものの、真紀のたっての願いにようやく決心し、行義に二人の結婚の許しを乞うた。教え子たちにつねづね「国のために死ね」と教えている行義だが、親として、娘が若くして後家になるのを知りながら結婚を許すこと...
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