蟹良子と能登半子とは浅草の踊子で一緒に暮らす仲良しだったが、劇場の閉鎖で失業して、生活に困るようになった。そこで勝ち気な良子が一策を案じた。それは良子に毎日花束を贈ってくれた銀行家阿久根隆と結婚してしまうことだった。ところが会って見ると阿久根は、恋は一種のスポーツ結婚なんて真っ平という調子なので、良子は口惜しまぎれに、自分にはもう無名だが画家の許婚がある、それを阿久根の金力で有名にしていただきたいという。阿久根が二の返事で引き受けてしまったので良子は行き当たり街でひろった画家三田門太を連れて行く。三田が何のことか判らぬうちに個展は開催され、新聞には書き立てられる。批評家宗方も買収されて三田の提灯を持つが良心にせめられ酔ったあげくに真相を洩らすので、三田は失望して自分の画をすっかり破ってしまう。そのあとで、宗方は三田が実は本当の才能を持っていることを見...
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