大江戸を恐怖のドン底に陥し入れた謎の連続殺人。その殺人現場を飛翔する無気味な鳩の一群、そして鮮血にまみれた死体にはりつけられた「誅駿河大納言忠長」の紙片は何を物語っているのか…。事件を追う幕府の隠密で新さんと名乗る風来坊と女目明しお絹の必死の追求も空しく、数年前に悲憤の死をとげた駿河大納言卿事件に関係のある五人の旗本が次々と殺されていった。老中と結託する悪徳商人・越前屋が茶会を開いた。招かれた老中の帰途を襲った義足の浪人は、殺人現場に影の如く現れる謎の若衆・幸之進の邪魔にあってその場をひくが、かけつけた新さんは幸之進が女であることを見抜いたのだ。事件の鍵を握りながら口を閉ざす幸之進は事件から手を引くように頼むが、新さんは信州にとび、そこで鳩使いの忍者から幸之進こそ忠長卿の忘れ形見・幸姫である事を聞き出した。江戸では忠長卿の旧臣でありながらそれを悪用す...
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