“哲学的ゾンビ”とは、物質的には通常の人間と変わらないものの、内面的な意識を持たない状態や存在を指す用語。この言葉から着想を得た本作では、廃材からオーダーメイドの玩具を作ってつつましく暮らす悟と亜居の夫妻が物語の軸に。ある日、意図せず持ち帰った昆虫から未知の寄生体が妻の脳に侵入してしまう。この寄生体疾患には感染者同士が属性を共有する特性があり、亜居はあろうことか連続殺人鬼の属性を継承する。感染から1カ月後、すべての脳細胞を失い、自我を喪失した亜居。“改正脳死法”に従い人権を失った彼女は一種の危険生物と見なされ、殺処分の宣告が下される。
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