江戸栄えて爛熟の頃。榊山座の人気者丑之助が、ある日、武家娘お梅と駈け落ちしてしまった。追っ手を逃れる舟の中で、お梅は無理心中をはかり、丑之助だけが被差別民の東六に救われた。当時心中の片割れは死罪となるのがならわしであったが、丑之助は父の縁を頼って江戸谷中にある延命院に逃れ、仏門に入ることになり、法名を道暁とした。ところが、この道暁は、河原者でありながら武家娘と駈け落ちするほどの色男なので、噂が噂を呼び、延命院は女の信者で埋めつくされた。これを知った祈祷師柳全は、道暁を繰って信者の金をまきあげようと、自らも頭を丸めた。この計画は見事図にあたり、道暁のもとに、女と金がどんどん集まって来た。そんなとき住職の日暁が病気で倒れ、これを利用した柳全は、日暁を闇から闇へほうむってしまった。日暁の死後、延命院を継いで住職となった道暁は、日当と法名を改めこんどは、誰は...
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