元敏腕判事のヤメ判清掃員、新堂謙介(橋爪功)は、会社の常務・堀切努(石橋蓮司)の命で、熱海にある旅館と病院で清掃を担当している。 ある日、露天風呂で疲れを癒していた新堂は、旧知の刑事・岩倉哲郎(石倉三郎)と再会する。岩倉も西伊豆から異動してきたのだという。 その頃、新堂が清掃を担当している旅館の大女将、佐久間芳美(愛華みれ)が睡眠薬を飲んで自殺を図り、意識不明のまま病院に搬送されるという事件が起こっていた。一命は取り留めたがこん睡状態の芳美に、夫の忠志(遠山俊也)と娘の美咲(清水由紀)が付き添う。知らせを聞き、東京にいる息子の祥平(永嶋柊吾)も駆けつける。芳美が搬送された久保田総合病院も新堂が清掃を担当している。院長の久保田孝雄(山口眞司)には和孝(窪塚俊介)と文孝(中山卓也)という二人の息子がおり、ともに医師だ。堀切によると孝雄は県医師会会長候補の一人で怪しい噂があるらしい。 そんな中、旅館で仕事中の新堂は、タクシードライバーの皆川裕司(おかやまはじめ)から声をかけられる。皆川は判事時代の新堂が赴任していた名古屋の裁判所の事務官だ。2人は再会を祝して皆川の行きつけの小料理屋で盃を交わす。女将・高柳比呂子(森口瑤子)のお酌で飲んでいると和孝と美咲が入ってきた。恋人風情の二人だが、間もなく美咲は泣きながら店を出て行ってしまう。気まずい雰囲気に立ち去ろうとした新堂に、和孝は自分の息子だと紹介する比呂子。彼女は孝雄と以前結婚しており、和孝と文孝、そして三男の公孝(澤田怜央)の母親だったのだ。翌朝、釣りに出かけた新堂は波に打たれて横たわる遺体を目にする。それはなんと孝雄だった。新堂は岩倉にアドバイスを与えながら殺害の状況を整理する。 同じ頃、新堂は先輩清掃員・牧野陽子(安藤玉恵)から、和孝と美咲は結婚したいと考えているが、それぞれの家族が猛反対していると聞く。複雑な家庭関係と若い二人の結婚が、院長殺害に関係していると新堂は推理するが…。
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