アラキネマは、映画でもスライドでもない、荒木経惟による全く新しい写真表現形式です。これは荒木自身による演出の写真表現を、鑑賞者が同時に体験し共有するものです。一枚の写真が光を通じて暗闇の中に映像を映し出し、次の瞬間には二枚目の写真と重なり合い、溶け合って交じります。二枚目の写真が明確な映像を映し出すと、先の写真は暗闇の中に消えていきます。この瞬間、この刹那、この官能的な魅力がアラキネマの特徴であり、それは確かな独自のジャンルです。 花は荒木の90年代の重要なモチーフの一つで、数多くの作品が世界中で高い評価を得て話題を呼びました。今回は全4部作からなる「花曲」の第3弾です。