牛若丸は常盤御前の犠牲によって生き残り、鞍馬の山で新田ノ太郎吉光の監視の下に置かれていた。吉光の娘桔梗とは唯一の仲のよい遊び友達であった。一夜源氏再興を企てる金王丸、正近、信時、四郎丸の源氏四天王から、父頼朝の死や母常盤の身の上をきかされ、母に会いたさ一心で武芸にはげんだ。そして、遂に常盤の侍女なぎさの手引で母を訪ねたが、その母は、「母と呼ばれる覚えはない」と牛若を冷く追いかえした。その帰途五条の橋で弁慶に斬ってかかられたが、これをさんざんにあしらって参らせた。弁慶は、牛若に母でないといった常盤の首を斬って牛若の無念を晴そうとして彼女の館に忍び込み、かえって常盤の苦衷をきかされて、改めて牛若を常盤に会わせてやった。清盛は成人する牛若を恐れて剃髪させようとするが、その直前、弁慶初め、四天王が乗り込んで牛若を奪還し、金売り商人吉次の計いで奥州さして落ちて行くことになった。一行が栗田口にさしかかったとき、追手の検非違使にとりかこまれ危いと見えたが、牛若の身を案じた桔梗が身代りとなって追手を大原口へおびき寄せその矢に倒れた。父吉光は検死に立ち会い娘桔梗の心を察し牛若丸だと申し立てた。そのため牛若一行は無事京都を脱出して奥州路へ向かった。
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